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インドIT産業情報 – アウトソーシング

戦略的アウトソーシング – 長期的メリット実現のアウトソーシング (1/4)

Chirag Unadkat
Chirag Unadkat

アウトソーシング黎明期では、多くの企業がアウトソーシングというものを戦略ではなく、戦術と考えていた。
 ☆戦術とは…短期である。即時に利益を得るための方法。
 ☆戦略とは…長期である。時間をかけて利益を得るための方法。

戦術的(短期)アウトソーシングの考えは対象となる社員に敬遠され、企業自体も対象となる社員の増員をためらった。清掃や運搬など肉体労働が伴うアウトソーシングはこれまでも世界中で行われてきた。これに対し、非肉体労働のアウトソーシングは2人のインドの企業家が、アメリカの病院とインドのITセンターを国際専用線(IPCL)で結び、医療に関するボイスデータを文字化したことが始まりであった。

アメリカでは医師が入院患者の診察をする際、ボイスレコーダーに患者の病状や治療方法の指示を吹き込むことが多い。その内容を、患者に薬を処方する看護師や患者を診察する他の医師や専門医など医療に携わる他の人々が利用できるというメリットがある。

これらの録音されたボイスデータファイルは国際専用線(IPCL)を使ってインドに送信され、受信したインドの専用オペレーターがボイスデータを文字化し、今度は文章データファイルとしてアメリカに返信する。アメリカでは受け取った文章データをコンピュータ上や印刷物として関係者が閲覧できる。ボイスデータを文章データに変換することで、今まで時間のかかっていた検索、参照、修正、印刷、保存等が容易に行えるようになった。

看護師にとっては、薬の処方についてボイスデータを聞くよりも文章データの方が便利であった、医師にとっては文章データを作成するよりもボイスデータを記録する方が便利であった。医師はボイスデータで、看護師は文章データでの取り扱いを希望したが、アメリカの多くの病院ではボイスデータを文章データに変換する作業を行うための人員確保ができなかったため、インドという遠隔地で行われることになった。ではなぜインドという遠隔地でボイスデータから文章データへの変換作業が行われるようになったかの理由が以下の5つである。

  1. インドには十分な医療知識を持つ人材が存在したため、アメリカの医師が録音したボイスデータの内容を十分に理解できた。インドでは多くの看護師や医療関係者が変換作業に従事した。
  2. インド人が変換した文字データは、アメリカの病院スタッフが医療研究に使用できるほどの正確さと高度な英語レベルがあった。
  3. インドはアメリカから遠く離れているため、時差が大きな障害になると思われがちであるが、それが両者にとってメリットとなったのである。なぜかというと、アメリカで日中に録音されたボイスデータはその日の終りに、国際専用線(IPLC)を使ってインドに送信される。その頃、インドでは朝を迎えるためインドでの変換作業は通常業務時間内で行うことができたのである。
  4. インドの労働賃金はアメリカに比べて非常に安く、アウトソーシング先としては非常に適していた。
  5. インドとアメリカをつなぐ専用回線が存在したため、データファイルの送受信を容易にできた。

インドでの文章データ変換作業を行った理由の1つであるコスト削減は、当初それほど重要視されてはいなかった。しかし各メディアがコスト削減を前面に報道したため、アウトソーシングとはコスト削減の最重要手段として認識されるようになった。インドでアウトソーシングを行った最大の理由はコスト削減のためではなく、アメリカに医療の基本的な知識を持ち、ボイスデータを文章データに変換する作業を行える人材が非常に不足しており、インドには豊富な人材があったからである。また企業家の熱意や医療という高いレベルの知識を持っているにもかかわらず、単純な作業を引き受けてくれたインド人の協力によってなしえたものである。さらに、変換作業をインドで行うことに伴うリスクも低かった。なぜならば今ほどデータのプライバシーや機密性、セキュリティに対する問題や事件も少なく、関心度も低かったためである。故に想定されるメリットはリスクを大きく上回っていた。

アメリカにとってはコストの削減は思いがけない副産物であった。それにより、アウトソーシングはコスト削減の代名詞になり、各企業がアウトソーシングを組み込んだビジネスモデルを設計し、最大限のコスト削減を試みた。その後、数年間多くの種類の仕事がインドに移された。

アウトソーシングという用語は、インドのような低賃金の国を活用し、優先度の低い作業を行わせ、お金を節約することを意味するようになった。

この様なアウトソーシングの多くは戦略的(長期)目標を念頭に置かれたものではなく、企業内の制約や制限を早く解消するための戦術的(短期)な目標のために行われた。

しかし現在、アウトソーシングが発展性のあるビジネスとして徐々に確立され、各企業がより重要度の高い作業をインドに移し始めるとアウトソーシングとは、戦術的(短期)なものよりか戦略的(長期)の方が、より発揮するメリットが多大であることが認識されるようになってきた。

次回の記事もアウトソーシングにおける内容にするつもりである。

御興味のある方は是非、e-chishiki.comのWeb上でまたお会いしましょう。

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